マーケティング・リサーチ⽤語集MARKETING RESEARCH TERMS

あ行

RFM分析

顧客分析手法の一つで、最終購入日(Recency)、購入頻度(Frequency)、購入金額(Monetary)の3つの指標で顧客をグループ分けします。これら3つの指標の頭文字をとって、RFM分析と呼ばれています。顧客を、優良顧客、育成顧客などのグループに分類し、それぞれに適切なプロモーションを行うことができます。

因子分析

多変量解析の一つで、多種類の量的なデータから、その相関関係に基づいて少数の共通因子を抽出する手法。 例えば中学校で、国語・数学・社会・理科・英語の5教科の成績について考える場合に、数学の成績が良い生徒は理科の成績も良く、国語の成績が良い生徒は社会や英語の成績も良いと推測できる。この場合、背後には「理系能力」や「文系能力」という直接観測できない因子があると考えられる。 因子分析ではこのように、観測可能なデータから、直接観測することのできない背後に潜む要因を探ることができる。

オムニバス調査

一つの調査テーマに対して依頼者を複数募り、相乗りで行う調査。 多くの対象者に少数で簡易な質問を聞く場合などに有効である。 同一の調査対象者で、集計作業も共通であるが、集計結果はそれぞれの依頼者が依頼した質問のみ提示される。 通常、質問数の少ない調査では調査外経費の占める割合が高くなってしまうが、それを複数の依頼者が均等に負担することによってコストを減らせるメリットがある。 逆に、依頼者によって質問のポイントが違うために、質問構成上の整合性がとれなくなり、調査対象者が混乱してしまうおそれがある。そのため、高度な調査には不向きである。 認知度調査、利用経験調査、イメージ調査などで実施することが多い。

か行

会場テスト

あらかじめ設定した会場に消費者を集めて、実際に商品を提示しながらインタビューやアンケートを行う調査手法。 ホームユーステストに比べると、同一条件のもとで、しかも効率よく短期間にデータを収集できるメリットがある。

価格受容性調査

消費者が特定の商品を購入する場合に許容できる価格帯を把握するための調査。 一般的に消費者は商品の品質や便益と価格とを比較して購入するため、価格が高過ぎても安過ぎても購入しない。そのため、ターゲットとなる消費者がどの程度の価格帯であれば許容できるかを把握することで、最適な価格を設定することができる。

競合分析

自社の商品やサービスを競合他社のそれと比較したときにどのような位置づけにあるのか、また、そもそも自社にとって真の競合が何であるかを発見し、検証することができる。

クラスター分析

異なる性質のものが混在した集団の中から似ているもの同士を集めてグループをつくり、分類する手法。売り手や作り手の思い込みではなく、生活者の行動や意識に基づく新たな分類を発見することができる。

広告テスト

広告が消費者に伝達され、注目を集め、記憶されて、購買行動を喚起するために、広告制作のさまざまな段階で対象者に意見を聞く調査のこと。

コレスポンデンス分析

対応分析とも呼ばれ、クロス集計の結果をもとにして類似の項目を近くに配置するマッピング手法。通称「コレポン」と呼ばれ、視覚的にわかりやすく図式化できるためプレゼンなどの際によく利用される。

コーホート分析

同時期に同様な体験をした個人の集団(コーホート)について、時間の経過とともにその集団の意識や行動様式などにどのような変化が生じたのかを分析する手法。 例えば、ある商品の使用率を時系列で追う場合に、「時代効果(時代の変化)」「加齢効果(年齢の変化)」「コーホート効果(出生年代の違い)」の3つの視点から分析することで、ターゲット設定や需要予測を行うことができる。

コンジョイント分析

商品やサービスを構成する要素(価格、機能、性能、ブランド等)が、それぞれ消費者の購買行動にどの程度寄与するかを分析し、その最適な組み合わせを探る手法。 例えばデジタルカメラについて、価格、画素数、デザイン、機能など、消費者が商品を選択する際に影響を及ぼす幾つかの特性を決めた上で、それらをさまざまに組み合わせた架空のデジタルカメラを想定して対象者に好きな順番をつけてもらうことで、商品を構成する要素を消費者がどのような優先順位で選択しているかを推定することができる。

コンセプトテスト

製品開発の段階で製品コンセプトやアイデアを対象者に示して、その商品が発売された場合の購入意向(使用意向)などを尋ねる調査。

さ行

集団面接法

通称グループインタビュー。少数の対象者を集めて、調査テーマに関する意見を座談会形式で自由に発言させる方法。 対象者がお互いの発言に刺激されて発言が膨らむ交互作用や、調査依頼者や設計者が発言の様子を観察できるという利点がある。 ただし、対象者の選択や司会者の能力によって調査の成否が大きく左右され、調査結果の分析にも分析者の技術と経験が必要とされる。

自由回答処理

自由回答の事後処理のこと。 自由回答はフリーアンサーとも呼ばれ、回答結果が幅広いため、事前に回答カテゴリーを想定できない場合が多い。回答の細かいニュアンスをとらえたい場合は回答結果を原文のまま書き抜く方法もあるが、回答内容を幾つかに分類し、コード化して集計・分析するアフターコーディング法もある。

人流データ分析

モバイルデバイス等の位置情報ビッグデータを収集し、特定のエリアにおける人の動きや行動パターンを分析する。

専門家調査

調査手法は一般消費者の場合と変わらないが、調査対象は専門家に限定されるため回収率も低くなる。また、調査内容が専門的になるので、調査する側にもある程度の専門知識が必要になる。特にヒアリング調査などの場合は事前のアポイントが必要となるほか、インタビュアーの知識の有無が調査の成否を分けることになる。

層化抽出法

母集団を分割して幾つかの層に分け、各層の規模に応じた標本を無作為に抽出する方法。単純な無作為抽出に比べると、標本誤差が小さくて済むという特徴がある。 母集団を分割する際には、母集団における各層の大きさ(割合)を明確にしておく必要があり、それに応じて標本数が決定される。

た行

段階抽出法

母集団の中から幾つかの集団を無作為抽出し、その選ばれた集団の中からさらに対象を無作為に抽出していくという方法。抽出の回数に応じて、2段抽出、3段抽出……と呼ばれる。 例えば九州の世帯を対象にした調査の場合には、まず市町村を単位として無作為抽出し、次に、選ばれた市町村の中から対象世帯を抽出する。

定性調査

課題を数量的に分析するのではなく、回答者の表現方法やニュアンスといった言語情報を分析する調査。対象者の行動の背景となる深層心理を探る場合に有効な手段である。 具体的には、通常「グルイン」と呼ばれる集団面接法(グループインタビュー)や深層面接法(デプスインタビュー)、詳細面接法、投影法などの手法がある。

デスクリサーチ

新たな調査を行って得られる情報ではなく、既存のデータから得られる情報のこと。 市場環境を把握する場合には既存資料を収集・加工するだけで十分な場合もあり、
①自社の内部にあるデータ、
②官公庁等が発表している統計データ、
③業界紙や業界雑誌などによる業界情報、
④調査会社の自主調査データなどがそれに当たる。
これらの既存資料による情報だけでは不十分な場合に新たな調査を実施する必要がある。

投影法

定性調査の一つで、対象者に直接的な質問をせず、間接的に聞く方法。 例えば、「天神で買い物をするのは○○○○だから面倒だ」のように空欄のある文章を示してブランクに適当な言葉を入れてもらう「文章完成法」、同様に吹き出しが空欄になっている漫画を示してそこを適当な言葉で埋めてもらう「略画法」、自分の意見としてではなく第三者の意見として尋ねる「推測法」、幾つかのキーワードを示した後、最初に頭に浮かんだ言葉を尋ねる「語句連想法」などがある。

な行

ネーミングテスト

商品やサービスに名前をつける際に、開発の段階で幾つかのネーミング案を対象者に示し、その評価やイメージを尋ねる調査。

は行

パッケージテスト

製品を対象者に提示して、外装のデザインや色彩、材質、イメージなどを評価してもらう調査。 流通業者を対象に、運搬のしやすさや扱いやすさについて尋ねる場合もある。

ハフモデル

居住地から店舗までの距離と店舗魅力度で集客度を測るもので、店舗開発時の商圏分析や需要推計の手法の1つ。

標準偏差

度数分布においてデータのばらつきや散らばり度合いを表す値の一つ。 標準偏差の値が小さいほどデータは平均のあたりに集中しており、値が大きいほどデータが平均から散らばっていることを示す。

標本誤差

母集団の全数調査をした場合と、母集団の一部を対象に調査をした場合とで調査結果に生じる食い違いのこと。したがって、全数調査を行った場合には標本誤差は発生せず、また抽出する標本数が多いほど標本誤差は小さくなる。

標本設計

調査対象を偏りなく抽出すること。 調査を行うに当たっては本来、すべての対象に調査を行うべきであるが、現実的には困難な場合が多い。そのため、通常は何らかの方法で調査対象を抽出し、その結果によって全体が推測できるように設計する。 具体的には、母集団の属する地域とサンプル数、標本構成、抽出方法、標本誤差などを明確にしておく必要がある。

PSM分析

Price Sensitivity Measurement(価格知覚測定法)の略で、商品やサービスの適正価格を検討するための判断基準を導き出す手法。「安い」「高い」「安すぎる」「高すぎる」の4つの価格認識から上限価格、妥協価格、理想価格、下限価格を測定する。

平均値

幾つかのデータの総和をデータの個数で割った値で、度数分布の中央の位置をあらわす手法の一つである。 調査結果を分析する際には簡便さを優先するため、度数分布で比較するのではなく平均値で比較することが多い なお、度数分布の中央の位置を表すものには、他に「中央値」「最頻値」などがある。

ペルソナ分析

仮想の顧客プロフィールを用いて、商品やサービスを設計する手法。プロフィールは、名前や年齢、住所、家族構成、趣味、一日の過ごし方など、データをもとに詳細に設定していく。ターゲットとなる顧客が明確になるため、複数の関係者が同じベクトルのもと企画を進行することができる。

ベンチマーク調査

いわゆる広告キャンペーンの効果を測定するために、事前に広告銘柄の認知度などを調べておく調査のこと。

ホームユーステスト

洗剤や食品などを消費者に家庭で一定期間使用してもらい、その評価を得る調査手法。 会場テストに比べると、日常生活の中で実際に使用した上で評価してもらえるメリットがある。また、評価を聞くだけでなく、家庭での実際の使用方法(調理方法)などをデジタルカメラで撮影して提供してもらうこともできる。

ま行

無作為抽出法

全数調査が困難な場合に、調査対象となる集団の中から主観を排して対象者を選択する方法の一つ。具体的には、乱数表などを用いて客観性を高める。 ただし、サンプル数が少ない場合は、たまたま選ばれた例外的な対象者がサンプル全体に与える影響が大きくなり、誤差率が高まる危険性があるため、ある程度の規模のサンプルを必要とする。

モニターサンプル

あらかじめ契約しておき、必要なときだけ調査協力を依頼するモニター(被調査者)のこと。 モニターと契約企業との間に親密感があるので調査への協力を得やすいという利点がある。通常の無作為抽出による調査に比べると回収率は圧倒的に高い。 ただし、モニターの属性が必ずしも母集団の属性とは一致せず、代表性を保証できないことが課題である。

や行

有意差検定

ある調査を行ったときに、その結果明らかになった構成比などの比率が統計的に意味のあるものといえるかどうかを判定すること。 例えばAとB2つの製品の所有状況を10人の消費者に聞いたときに、Aを持っている人が7人、Bを持っている人が3人だった場合、その結果をもって母集団の所有率も7対3といえるかどうか判断することを指す。

有意抽出法

無作為抽出法が主観を排除して確率論的に対象を抽出するのに対して、調査者や調査設計者が自らの知識・経験によって母集団の代表性が高いと思われる対象を主観的に選ぶ方法。少数の標本を抽出する場合に用いられることが多い。 選択者の判断が適切であれば代表性は高いが、その保証はないため、抽出の精度を客観的に判断できないのが欠点である。

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